本格的な登山となると日帰りではなく山泊となりますが、天候が急変しやすい夏という時期のテント選びは様々な条件を考慮しながら慎重に行いたいものですよね。
その中で最も重要視したいのが、テントの軽量さではないでしょうか。
登山用テントは、様々な環境条件の中や限られたスペースで張ることを考え高い機能性がありますが、登山活動の中でザックに入れて持ち運ぶ時間が一番長いので、やはり軽量さには拘りたいところです。
そこで、今回は総重量が2kg以下の登山用テントを厳選してご紹介したいと思います。
当記事のコンテンツ
軽量テントの特徴
登山の成功をにぎる鍵になる
登山では、テント以外にも寝袋や調理道具などを持ち運ぶことになり、ザックの総重量は増えがちです。
体力のある男性であれば気にしなくても良いかもしれませんが、体力に自身がない方や女性であれば無理はせず1人用の軽量テントを選びましょう。
軽量であれば体力の温存ができて、心に余裕ができますよね。
また、グループ登山の場合は、大人数用のテントをバラバラにして持つ方法もあります。
以前は、登山用軽量テントと言うと2kg以下でしたが、最近では1kg以下の登山用テントも存在するようになってきました。
先の予測ができない登山において、テントの軽量化と言うのは自分で行える事前準備としてはマストなのです。
軽量であるが故のコンパクト性
登山用テントは、軽量であればあるほど、同時にコンパクト性も発揮されます。
決められた収納スペースであるザックの中に、いかに効率良く配置していくかは1つ1つのギアのコンパクト性にかかってくると言っても良いでしょう。
キャンプ用テントと違い、軽量・コンパクト性は登山用テントには必須です。
各メーカーもせめぎ合いながら、まだまだ進化の途中でもあるのですよ。
高価になる
登山用テントは、軽量化のために特殊な糸や化学繊維を使用していたり、コンパクト性を計るためのアイディアや開発に時間を要すため、どうしても高価になります。
各メーカーによって、その高価になった理由や経緯は様々なので、事前に調べて納得した上で購入する事をオススメいたします。
おすすめの総重量2kg以下の軽量テント
mont-bell ステラリッジテント1
モンベルのステラリッジテントは、安心な日本製で価格も安いのに高い性能を誇るという点や、モンベルショップが全国各地にあることで、かなりの人気商品になっています。
実際の商品を見たり店舗スタッフから具体的な説明を受けることで不安も解消され、自分で納得して購入できるところは大きなメリットでしょう。
重量は、本体+レインフライ(別売)、ペグ、張り綱、スタッフバッグを含め、1340gになります。
ステラリッジテントは、軽量テントに多く採用されている組み立てたポールに本体を止めていく吊り下げ式タイプになっており、優れた耐風性と素早い設営・撤収のしやすさを兼ね備えていることが特徴です。
風が強い時でも難なく設営が可能になります。
ここで、筆者の体験談になります。
夏キャンプで天候が悪くなり、強風が吹く中のキャンプ場での心に残る出来事をご紹介いたします。
強風で、我が家のテントを含め次から次へとテントが倒れていく中で、母子キャンプで使用されていたステラリッジテントだけはしっかりと強風に耐えていたのです。
風を受けても、受け流しているという感じでした。
母子と言っても、幼稚園児とママの2人です。
その母子は、バタバタしているキャンパーが多い中で、余裕で夕食の準備を行い川で釣りもされていました。
あの余裕感は、本当にアッパレでした。
そんな優秀で購入しやすいステラリッジテントですが、デメリットとして、人気であるがゆえに人と被りすぎて、自分のテントが何処なのか見分けがつかなくなる事があるかもしれない、という事です。
キャンプ場では少ないですが、山岳になるとカブル率は高くなります。
また、フロアシートが若干薄いので石が多い場所や濡れた地面だと頼りないイメージです。
別売りのグランドシートを使用すれば問題ないのですが、ザックの総重量と設営の手間が増えてしまうのが気になる所です。
重量 | 1340g(本体+フレーム、レインフライ(別売)、ペグ、張り綱、スタッフバッグ) |
収納サイズ | 29×14φcm、フレーム38cm |
セット内容 | テント本体1、本体ポール1組、∅3mm反射材入り張り綱4本 16cmアルミペグ12本、ポール応急補修用パイプ1本 |
金額 | 30250円 |
ARAI TENT AIRRIZE1(エアライズ)
登山用テントと言えば、モンベルと同じくメジャーなのがアライテントです。
アライテントは、直接の販売は行っておらず登山アウトドア用品専門店で購入が出来ます。
近年、詐欺サイトなども見受けられるので、アライテントのサイト内にある取扱店舗一覧を参考にして、信頼のおける登山アウトドア用品専門店で購入しましょう。
そんなアライテントの中でも、季節に合わせてオプション品を組み合わせることで1年中活躍してくれるテントがエアライズになります。
重量は、本体+フレーム+フライシートを含めて1360gです。
220gの張り綱とペグまで合わせると1580gになります。
設営時、フレームの行く先を気にしなくてもスピーディーにフレームをセットできる切れ目のないフレームスリーブになっており、そのまま自立するので設営にもたつく事がありません。
本体にフライシートをかけると全室が現れ、シューズが余裕で置ける広さはあります。
さらに、そのフライシートは、通常タイプ、保温や耐風性能を高めた冬季専用のウィンタータイプ、大きな前室を確保できるDXタイプの3種類があります。
季節や天候など、様々な条件にに合わせてフライシートを選択する楽しみもありますよね。
限定品などで、画像のようなピンク色もありましたが、女子ウケが良く早々に完売したテントもあります。
このピンク色、派手さがなく自然になじむカラーリングで、男性が使用しても抵抗がない素敵な色合いですよね。
アライテントのエアライズは、季節や状況に応じてフライシートを使い分けながら、長年に渡って愛用していけそうです。
重量 | 1360g(本体+フレーム+フライシート) |
収納サイズ | 29×14φcm、フレーム38cm |
セット内容 | 本体、フレーム、フライシート、張り綱、ペグ、シームコート リペアチューブ(緊急フレーム補修用チューブ |
金額 | 42900円 |
HERITAGE クロスオーバードーム
カラフルなカラーリングが多い登山用テントの中でも、自然になじむ落ち着いたカラーリングが魅力的なヘリテージのクロスオーバードームです。
重量は、本体、ポール、スタッフバッグ込みで600gです。
ガイラインやペグを含まないので+αと考えていた方が良いですが、1kg越えないのではないでしょうか。
クロスオーバードームの設営はスリーブ式になっていて、すばやい設営のためには嬉しいシステムです。
クロスオーバードームfの入口は、短辺側に配置されています。
入口から中を覗いた時に奥行き感を感じることが出来て、狭いスペースながらシェルターに潜り込むときの圧迫感を軽減する工夫がされているようです。
入口の縦ファスナーは他モデルと同様にダブルスライダーになっていて、上から開けることで換気を行えます。
このような小さな心遣いは普通のキャンプでも有難いですが、登山というシーンではより一層有難く感じます。
旧モデルでは、ベンチレーターが雨の重さでつぶれてしまい機能しなくなるというデメリットがありましたが、新しいモデルでは解消され快適性も抜群に上がったようです。
出典:photoAC
さらに、ユーザーの声で多いのが本体の収納がスムーズという事です。
本体を折り畳んで収納する時に、空気が逃げにくい構造に加え生地がほとんど通気しないため、どうしても本体の膨らみを押さえ込むことが出来ずに収納袋に入らないという問題が発生しがちです。
しかし、クロスオーバードームの生地は空気が抜けやすくてストレスを感じずに収納できると好評で、撤収後のスムーズな活動にも繋がっているようです。
登山でのスムーズな撤収は、登山の成功の秘訣にも繋がっているのかもしれません。
重量 | 600g(本体、ポール、スタッフバッグ) |
収納サイズ | 16×8.5φcm、ポール38cm |
セット内容 | 本体、ポール、スタッフバッグ |
金額 | 36300円 |
finetrack カミナドーム1
カミナドームは、ファイントラックが軽量化、携帯性、強度、快適性など登山用テントとして求められる全ての項目において妥協せず、諦めずにとことん拘り倒した登山用テントになります。
組立はスリーブ式になっていて、ポールを通せば自立してくれます。
設営に時間をかけたくない登山泊において、自立は嬉しいポイントです。
重量は、1280gになります。(インナー、フライ、ポールで1130g。ガイライン、収納袋、ペグ8本で150g。)
ファイントラックがとことん拘り倒した諦めない姿勢は、カミナドームの生地にも現れています。
インナーには、世界でも超軽量の等級に値するナイロン生地7デニールのリップストップナイロンが使われています。
リップストラップとは、裂けの広がりを防止するために格子状に糸が織り込まれた生地のことをいいます。
そんな極細糸の生地の裁断や縫製を国内工場で行っているのですが、かなりデリケートな素材なので、この裁縫作業を行うには高度な技術が必要になってくるようです。
極薄生地を縫い合わせるには、速度や引っ張る力や摩擦力というものを瞬時にして感じとり、精密に縫い上げていく技術と経験が不可欠な要因なのです。
そんな技術と経験を持ち合わせた職人さん達によって、カミナドームはいつでも安心して使える登山用テントに成長していったのです。
重量 | 1280g (インナー、フライ、ポール、ガイライン、収納袋、ペグ8本) |
収納サイズ | 8×17×27cm、ポール39cm |
セット内容 | インナー、フライ、ポール、ガイライン、収納袋、ペグ8本 |
金額 | 68200円 |
ZEROGRAM El Chalten(エルチャルテン) Pro 1.5p
エルチャルテンは、韓国のブランドであるゼログラムの登山用テントになります。
重量は、フライ、インナーテント、ペグ6、ポール3、スタッフサックまでいれて1441gです。
エルチャルテンシリーズに限らずですが、ゼログラムのテントは見た目がスタイリッシュなテントが多いです。
フライシートの色合いが美しく、さらに、ポールとのカラーリングの組み合わせはお見事です。
見た目だけで購入してはいけないと分かっていても、つい購入したくなるような魅力があります。
しかし、見た目だけで購入しても心配ないかもしれません。
エルチャルテンは、フライとインナー、フットプリントを連結して一度に設営できる革新的な一体型構造の軽量ダブルウォールテントになります。
前後2か所に入口と前室があるのも、ハイカーには嬉しいポイントです。
そのおかげで、実際のフロアサイズ以上に解放感のある居住空間を実現しています。
夏の登山でも、周辺の山々の景色を取り込みながら開放的な空間で気持ち良く過ごせるでしょう。
また、本体を広げてポールで吊り下げるだけなので、初心者の方でも迷わず設営が可能です。
インナーテントの素材には、通気性を保ちながら結露がほとんど発生しないモノフィラメントが使用されています。
他のメーカーでは使用されているのを見たことがない素材になるので、一度は体感しつつ、オシャレなテントで過ごしてみたいものです。
重量 | 1441g(フライ、インナーテント、DACポール、DACペグ 6、スタッフサック) |
収納サイズ | 記載なし |
セット内容 | フライ、インナーテント、DACポール、DACペグ 6、スタッフサック |
金額 | 68750円 |
NEMO HORNET STORM(ホーネットストーム) 1P
ニーモのテントの中で、快適性と居住性を保ちながらも極限までの軽量化を追及したモデルになるのがホーネットストームです。
インナーテントにフライシートをかけるダブルウォールタイプになり、ポールを組み合わせるだけで自立するテントになります。
最近、1kgを切るダブルウォール&自立式テントが続々登場していますが、インナーテントのみで800gというのは相当な軽さです。
フライシートをかけた時の見た目で特徴的なのが、片方のフライシートがインナーテントより裾が短い事です。
軽量化を図るためや風を取り込みやすくする事で通気性の向上に繋がっています。
しかし、フライシートの裾が短い分、降雨時が気になりますよね。
実は、このホーネットストームのインナーテントの白い部分が10デニールの生地で、グレーの部分は防水処理をした15デニールの生地になっています。
さらに、裾が短い方のインナーテントのグレー部分は高めに作られており、雨が降っても下から水が浸入しにくい作りになっています。
重量 | 950g(テント、フライシート、ポール、張り綱、収納用スタッフサック、ペグ、修理キット)*メーカー表示ではなく実測値 |
収納サイズ | 記載なし |
セット内容 | 本体、フライシート、タッフサック、ガイライン、リペアキット、ペグ |
金額 | 46200円 |
登山泊の成功のカギは軽量です
総重量が2kg以下の登山用テントをご紹介してきましたが、各メーカーの表示をご覧になり、気が付かれた方もいらっしゃるでしょうか。
各メーカーの総重量表示の定義が統一されておらず、本体のみの表示もあれば、本体とフレームとフライシートの表示のメーカーもあるということです。
数値だけを見て一概に判断すると、テント購入の失敗に繋がる可能性があります。
必ず、表示された重量はどこまでを含めた重量表示になっているかを確認することが大切です。
あなたが選んだ軽量な登山用テントは、あなたの体力と気持ちのサポートをしてくれる心強い味方になってくれるでしょう。