季節は冬に向かい、冬キャンプには欠かせない焚火シーズンが始まりました。
焚火って、ユラユラ動く炎を見ているだけで心が癒されます。
しかし、そんな素敵な時間を過ごしたいと思っている一方で、みなさんは焚火に関するルールやマナーに対してどの程度の自信があるでしょう。
もしかしたら、自己満足に終わっているかも。
焚火を行う場合は、自然環境や周囲のキャンパー、さらにはキャンプ場にまで迷惑をかけるようなトラブルは避けたいところです。
そこで、キャンプ場などで焚火を行う際のルールとマナーを改めて確認して、初心者さんでも自然への配慮ができるような本物のキャンパーを目指しましょう。
当記事のコンテンツ
焚火のトラブルあれこれ
元々盛り上がりを見せていたアウトドアブームに、コロナ禍でキャンプを始めた初心者キャンパーが一気に増えました。
キャンプ場や自然豊かな環境が自慢の市町村では、沢山のキャンパーやアウトドアで賑わう光景が見られ嬉しい悲鳴も上がています。
しかし、その一方で、ルールやマナーを守れない残念なトラブルも急増してしまい、そんな様々なトラブル対応に苦慮されている現実が問題となっているのです。
たとえば、直火禁止のキャンプ場にも関わらず明らかに芝生エリアの一部に焦げたエリアがあったり、キャンプ場のルールに沿った焚火の後の片付けが出来ておらず、キャンプ場の方の手間が増えているのです。
また、野外焼却を禁止する自治体が多い中、今年の夏には河原で野焼きなどのBBQをする光景などが見られました。
さらに、その野焼きが放置された状態という事例などもTVで取り上げられており、炭はもちろんの事、調理を楽しんだ後の残骸や残飯がそのまま残っているという悲惨な状況も報告されています。
一方、キャンプ場で気合いが入った方に多いのが、「焚火ではなく火事」のように大きな炎になっていたり、風が強いにもかかわらず「せっかく来たから。」「せっかく用意したから。」という自分の思いだけで焚火を強行される光景です。
悪気はなくても焚火のルールを知らないままの初心者さんや、この程度なら良いだろうという自己判断や経験を積んだキャンパーの慣れがトラブルを引き起こしているようですよ。
焚火に関しては「火を扱う」という事もあるので、ルールとマナーに関しては特にしっかりと守ることが大切です。
今まさに、焚火に関するキャンパーのモラルと自然環境問題が問われているのです。
初心者キャンパーもベテランキャンパーも、ここで、しっかりと焚火に関する大切なルールとマナーを学びましょう。
焚火のルールとマナー
「焚火は焚火台で!」と思っていた方が良い
地面の上に炉を組んで焚き火を行うことを、直火と言います。
直火が禁止になったのは、景観維持のためのメンテナンスの負担、山火事への延焼や自然へのダメージという地面への熱が環境に与える悪影響という理由があります。
しかし、それらを上回る理由として、炭や食べ物を放置して帰るなどと言ったルールを守れないキャンパーの増加が主な原因となってきているようなのです。
キャンプ場が直火禁止と大きく掲げていなくても「焚火は焚火台で!」という認識でいた方が賢明でしょう。
河原など、一見、誰にも迷惑をかけないような場所であっても、直火不可の確認は自治体へ行う必要があるのです。
そんな確認を行うよりは、焚火台を準備する方が効率的だと思いませんか。
河原で直火となると、足元が悪い上にゴツゴツした岩の間に炭やゴミなどが落ちたりして、片付けの事を考えると気が遠くなりますよね。
直火をしている見た目のカッコ良さはありますが、それは、直火を許可されているキャンプ場のみで行えるものだと認識しておきましょう。
焚火台のデザイン選びがポイント
ほとんどのキャンプ場で直火が禁止されているので、焚火をしたい場合は焚火台が必要です。
直火禁止の理由から考えると、理想の焚火台は、地面からの距離があるものや炭や灰が地面に落ちない様になっている設計の焚火台が良いでしょう。
薪が炉の中心に向かって下がるようなタイプだったり、炉の大きさに余裕がある焚火台です。
最近の焚火台は、ソロキャンプの流行りや軽量化の進歩でコンパクトなものが人気ですよね。
また、焚火台市場の競争激化でデザイン性にウエイトを置いてしまい、炉から薪や灰が落ちやすいデザインの焚火台も見受けられます。
デザイン性も大切なのですが、組み立てた時の炉の大きさや形状を確認して選びましょう。
それでも、どうしても愛用している焚火台が地面へのダメージを与えてしまいそうであれば、地面を保護する耐火シートを利用するのがオススメです。
耐火シートを使用することで芝を燃やしたり地面を焦がすリスクは断然に減るので、それが環境への配慮に繋がるでしょう。
水の準備は必須
最悪の事態に備えて、消火できるだけの水は焚火を始める前に用意しましょう。
キャンプ場であれば、お手持ちのジャグなどを満タンにしておくのも良いですよね。
焚火のルールやマナー違反は軽犯罪法の第1条9号の文言にも該当し、拘留または科料に処すと定められています。
ウキウキするだけでなく「火を取り扱う」という認識は忘れないようにしましょうね。
合わせて、火傷を防ぐ耐火性のあるグローブや火を扱いやすい長めのトングなどが揃えば、初心者とは言わせない雰囲気と責任感が高まってくるはずです。
焚火をする場所選び
焚き火をする場所選びも重要なポイントです。
周りに燃えやすいものがない場所を選ぶのは基本ですが、キャンプ場の区画サイトであればテントと焚火台の距離を取るのが難しい場合もあるでしょう。
区画内での焚火台の配置決めは、テントを張る前の重要なポイントとなってきますね。
その点、フリーサイトであれば、他のキャンパーさんのことを考えた常識の範囲内で、テントと焚火台の距離を取ることも出来るでしょう。
また、風が強い場所や風が強い日は「焚火をしない。」という判断も大切です。
久しぶりの冬キャンプで焚火をしたい気持ちは山々ですが、潔く止める判断も必要なのです。
こう言ったように、焚火のルールとマナーというのは、点火してからではなく始める前から既にはじまっているとも言えますね。
いよいよ着火!そのやり方で大丈夫?!
着火の瞬間は、ドキドキですよね。
待ちに待った焚火タイムが始まるのですから!
薪を組んで乾燥した木々や松ぼっくりなどを足し、そこへ着火剤を投入したら、あえてのマッチ棒でシュワッと点火する。
そんな時間を楽しみながら空を見上げると、小さな黒い燃えカスがフラフラと舞い上がっている。
見廻すと、少し離れたサイトの初心者らしいキャンパーさんが新聞紙で火を付けている。
紙はよく燃えるし、燃やしたくなる気持ちも何となくは分かります。
しかし、焚火は焼却炉ではありません。
危険すぎます。
風の影響を大きく受ける燃えカスや火の粉は簡単に飛んでいってしまうので、自分のサイトから簡単に出ていき他のサイトにも飛んでいきます。
そして、その落ちた場所に乾燥した落ち葉が積もっていたと考えると怖いですよね。
さらに、テントやタープなどに飛んで穴をあけたり焦がしてしまう事になると、他のキャンパーさんとの大きなトラブルの原因になります。
耐火性のあるテントやタープを準備していけば多少の火の粉がかかっても大丈夫!と考えるのは、ちょっと危険です。
自分達は大丈夫でも、周囲で楽しんでいるキャンパーさんのテントやタープはどうでしょう。
焚火シーズンにキャンパー全員が耐火性テントを使用している訳ではありませんよね。
着火時は紙などは使用せず、着火剤を使いオシャレにサクッと点火しましょうね。
焚火を楽しむ心と炎の大きさは反比例が良い
初心者キャンパーさんがやりがちな、焚火の火が燃え始めてからの失敗例として見受けられるのが、次から次に薪をくべてしまい火を大きくしてしまう事です。
火が大きくなれば火のコントロールは難しくなり、近づくのさえ危険です。
さらに、焚火台の炉から超えれば、火に限らず燃え尽きた灰がどんどん地面に落ちてしまいます。
もう、ほとんど火事ですよね。
キャンプ場では、まずベテランキャンパーさんが焚火をする様子を観察するのも良いでしょう。
焚火台のブランドやデザインばかりを気にしがちですが、観察ポイントは他にもあるのです。
きっと、焚火台の火はそこまで大きくない事に気が付かれると思います。
燃やしすぎない焚火こそが、スマートでありオシャレスタイルなのです。
後始末までが焚火タイム
焚火は直ぐには終われないので、終わりたい時間の2~3時間前を目安にして新しい薪を足さないようにしましょう。
焚火の後片付けは面倒のように思われがちですが、白い灰になるまで燃やし尽くせば面倒臭さもありません。
薪を燃やし切ったら、キャンプ場のルールにしたがい灰捨場や指定の分別に従って処理をします。
その後は、焚火台の熱が完全に収まれば使い捨ての雑巾などでキレイに拭いて終了です。
昔は、燃え残った炭は木からできているという理由で、地面に埋めておけば炭は自然に返ったり肥料になると言われていたようですが、それは誤った情報なので絶対に埋めてはいけません。
SDGSも加速的に普及しており、焚火や燃え尽きた炭の処理方法は環境問題に直結する問題でもあるのです。
焚火の跡を放置することは、言語道断。
キャンプ場以外の公共の場で焚火台で焚火をした場合などは、自分で持ち帰るのが鉄則という事を覚えておきましょうね。
自然と人に優しい焚火を楽しもう!
焚火は、私達に癒しを与えてくれるばかりでなくコナレ感もあり、冬キャンプではマストなアイテムになりつつあります。
しかし、火を扱うと言う事を考えた時に、見た目だけでなくルールやマナーを守り安全に行うというモラルの高さもキャンパーに求められるのです。
キャンプ場で決められているルールを守り自然環境や周囲の人への配慮を忘れないことが、楽しい焚火につながる事を忘れないようにしましょう。