キャンパーの皆さんは、キャンプに行く前に必ず天気予報を確認すると思います。
そこで、天気以上に注意したいのが「風」です。
どうしても、晴れるのか?雨は降らないか?と天気に目が行きがちですが、キャンプを安全に行う上で重要なのは「風速」です。
今回は、危険な風速の目安から、強風時の対処の方法、トラブル事例などを紹介していきます。
当記事のコンテンツ
風速の表し方
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風速の表し方には「平均風速」と「瞬間風速」があります。
気象情報などで「風速」という場合は、主に「10分間の平均風速」のことを指します。
「瞬間風速」という場合は、「3秒間の平均風速」のことを指します。
それぞれの最大値を、「最大風速」と「最大瞬間風速」と呼びます。
瞬間風速は、平均風速の1.5倍から2倍、時には3倍以上となることもあります。
安全にキャンプができる風速の目安
出典:ウェザーニュース
風速〇メートルと言われても、いまいちピンとこないかもしれません。
風速の数値と体感の目安を事前に覚えておきましょう。
数値的な目安として、注意が必要な風速は毎秒10メートルあたりと言われています。
気象庁でも、毎秒10メートルを超える風を「やや強い風」と定義しています。
では、毎秒10メートル以下であれば安全かというと、キャンプに関しては全くそうではありません。
もし、事前に風速毎秒10メートルと予報が出ている場合は、即刻キャンプを中止するレベルです。
では、どの程度から危険が生じるかというと、経験的には毎秒5メートルあたりからは注意が必要です。
風が強い日のトラブル事例
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テントが飛ばされる
強風時に多く起こるトラブルが、テントのペグダウンが甘く、テントが飛ばされる事例。
テントが飛ぶなんてと、イメージがつきにくいかもしれませんが、強風時は簡単にテントが飛んでいきます。
さらに、飛んで行った先で焚き火をしていて、テントに穴が開く。
テントに穴が開くだけでなく燃えてしまうこともあります。
抜けたペグで怪我をする
風で抜けたペグは、ガイロープと共に勢いよく飛んでいきます。
飛んで行った先の人に当たり、怪我をさせてしまった事例。
当たる先は、人とは限りません、車を傷つけてしまったり、ギアを傷つけてしまったりというケースもあります。
キャンプギアが飛ばされて紛失
キャンプギアは、基本的に軽量化されているので、とても風に弱いです。
軽量なキャンプギアやカトラリーなどは、想像以上に簡単に吹き飛んでしまいます。
就寝中に飛ばされてしまい、紛失したという事例もあります。
倒木の危険
強風時は、倒木の危険も増します。
就寝中にテントが倒木の下敷きになり、命を落とすという痛ましい事例もありました。
大きな木だけでなく、小枝や木の実も強風時には勢いよく飛んできますので危険です。
火の粉が飛び、火災につながる
強風時に特に危険なのが、キャンプの醍醐味でもある焚き火です。
たくさんの空気を含み、火の勢いは増し、火の粉は遠くまで飛んでいきます。
火の粉だけでなく、火のついた薪も簡単に飛んでいきテントに引火、火災につながる事例も。
低体温症の危険
風を受けることで、体感温度はどんどん下がります。
一般的に、風速1メートルの風を受けるごとに、体感温度は1度下がると言われています。
また、汗や雨などで濡れた体に風を受け続け、低体温症を引き起こした事例もあります。
花粉が大量に飛散する
花粉の飛散ピークである春先だけでなく、強風時には花粉のアレルギー症状を強く感じることがあります。
アレルギー症状だけでなく、テントやタープにびっしりと花粉がついているという、目に見える形で花粉の飛散を感じることもあります。
風が強い時の対策
出典:本田技研工業
ペグは頑丈なものを使用する
強風時の設営では、ペグ選びとペグの打ち込み方が重要です。
ペグの種類は、重くて長いものを選びましょう。
30cm以上ある鋳造ペグがおすすめです。
ペグは、テントと逆向きに打ち込み、ロープに対して90度の角度で調整すると強度が増します。
ペグをもう1本追加し、地中でクロスするように2本使いで打ち込むのも対策のひとつです。
テントの向きを工夫する
テントを設営する向きは、入り口を風下にするのがポイント。
風上に入り口を設置してしまうと、テントの中に風が入り込み、内側から押し上げる力に変わってしまい危険です。
しかし時間の経過とともに、風向きが変わることはよくあることです。
その都度、ガイロープの状態や、テントの状況を確認しましょう。
撤収の際は、風下のペグから抜いていくのもポイントです。
防寒対策を万全にする
通常の防寒対策に加え、防風性の高いアウターを用意しましょう。
突然の雨に備えて、防水機能や撥水機能があるものを選ぶとさらに安心です。
風が強い時は、気温以上に体感温度が下がりますので防寒着が不足しないよう注意しましょう。
木の下は避ける
強風時に限ったことではありませんが、木の下にテントを設営するのは避けた方がいいでしょう。
根元が黒く変色していたり、カビやキノコが生えている、時期ではないのに葉っぱが落ちているなどの木は、根腐れを起こしている可能性があります。
大きな木の近くや、真下にテントを設営するのは避けましょう。
焚き火は中止する
強風時に真っ先に中止にすべきことは、焚き火です。
強風時の焚き火は、火の粉が風で拡散したり、必要以上に火が大きくなるなど、大きな事故につながる危険が高くなります。
キャンプの醍醐味でもありますが、安全のために早めに中止の決断をしましょう。
風よけになるものを利用する
オートキャンプの場合は、車で壁を作りその陰にテントを張ることで風をしのげることがあります。
風通しのわるい壁際や、林間サイトなどを利用することで、風の影響を弱めてくれます。
事前に天候を確認する方法
出典:YAHOO天気・災害
風予測のサイトやアプリを利用することで、事前に風の向きや強さを知ることができます。
ただし、キャンプ場のロケーションによっては予報以上に風が強くなることがあります。
ピンポイントの予報が出ない場所もありますので注意が必要です。
特に海辺のキャンプ場や、遮るもののない広いキャンプ場は、風が強くなる傾向があります。
ひとつのサイトやアプリだけでなく、いくつか見比べるなどして検討するのも大事なポイントです。
風速を目安に慎重な計画を立てよう
出典:unsplash
キャンプの時の風は、雨よりも危険で恐ろしいものです。
自身も何度か経験がありますが、バサバサと音を立てるテントの中では、恐怖で眠ることもままなりませんでした。
目安として、風速5メートル以上の予報が出ている時は、中止にする決断をすることも視野に入れましょう。
「現地で考えよう」「風が強くなってから考えよう」は、とても危険。
引き返せない状況になってしまうことも考えられます。
最大の対策は「諦める勇気」です。
安全に楽しいキャンプのためには、諦めることも大切です。