焚き火やストーブの燃料となる薪には「針葉樹」と「広葉樹」の2種類があり、それぞれの特性を知ることで自在に火を操ることが可能です。
そこで今回は、焚き火の基礎知識として「針葉樹」と「広葉樹」の違いや効果的な使い分けについて完全解説!
火付きや燃焼時間の違いなど、「なかなか燃えない」「すぐ消えてしまう」とお悩みの焚き火初心者さんに向けて役立つ情報をご紹介していきます!
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【焚き火の基礎知識】「針葉樹」と「広葉樹」の違いとは?
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薪には、おもに「針葉樹」と「広葉樹」の2種類があります。
それぞれの特徴を把握し違いを知ることで薪を効果的に使い分けることができ、焚き火をより一層快適に楽しむことが可能です。
そこでまずは、「針葉樹」と「広葉樹」の特徴や最適な使い方について解説していきます。
針葉樹の特徴
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針葉樹とは、葉が針のように細長く尖った樹木のことを示し、その代表にスギやヒノキ・マツなどが挙げられます。
そんな針葉樹の特徴が以下のとおりです。
- 油分が多く密度が低いので火がつきやすい
- 燃え尽きるのが早い
- 軽く柔らかいため薪割りがしやすい
- 煙や煤(スス)が出やすい
針葉樹は、樹脂を多く含み密度が低い(中身が詰まってない)ので火付きがよく割りやすいというのが大きな特徴ですが、その反面燃えるスピードが早いので火持ちが短いという特徴があります。
そのため、針葉樹の薪を焚火で使用する際は、以下の用途に最適です。
- 薪に火をつけるために用いる「焚き付け」用に
- 消えかけた焚火の火力をあげたいときに
- 焚火調理で素早く火力をあげたいときに
針葉樹は、火付きがよいため火起こしする際の「焚き付け」や「火力を素早くあげたいとき」に最適と言えます。
広葉樹の特徴
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広葉樹とは、葉が広く平たい樹木のことを示し、その代表にカシやナラ・ケヤキなどが挙げられます。
そんな広葉樹の特徴が以下のとおりです。
- 油分が少なく密度が高いため火付きが悪い
- 燃焼時間が長く火持ちがよい
- 重く堅いので薪が割りにくい
- 煙や煤(スス)が比較的出にくい
広葉樹は、針葉樹に比べて油分が少なく密度が高い(中身が詰まっている)ため火付きが悪く、重く堅いというデメリットがありますが、一度火がつくと燃焼時間が長く、煙や煤(スス)が比較的少ないという特徴があります。
そのため、広葉樹の薪を焚火で使う際は、以下の用途に最適です。
- 火持ちがよいため、焚き火を長時間楽しみたいとき
- 薪ストーブや暖炉の燃料として
広葉樹は、火持ちがよいため火力を長時間維持することができ、頻繁に薪を焚べる必要がないのでゆったり焚火を楽しみたい用途に最適です。
また、針葉樹に比べて煙や煤が比較的少ないので薪ストーブや暖炉の燃料としても最適と言えます。
どれぐらい必要?針葉樹と広葉樹の燃焼時間や量の目安
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針葉樹と広葉樹では、前述で解説したように燃焼時間が異なります。
そのため、「焚火の途中で薪が足りなくなった・・・」ということがないよう、おおよその燃焼時間や用意する薪の量を知っておくことが重要です。
- 針葉樹ひと束(約3kg前後)・・・約1〜2時間ほど
- 広葉樹ひと束(約7kg前後)・・・約3〜4時間ほど
一般的には、薪の種類によって上記の燃焼時間を目安にすることができ、日帰りで調理のみの用途なら薪1〜2束を目安に、また調理以外にも暖を取る予定があるならプラス2〜3束を目安に用意すると良いでしょう。
ただし、燃焼時間は薪の種類のほかにも樹種や太さ・焚き火台の大きさ、またそのときの気温や風の強さなど環境の違いで異なるため少し余裕を持って用意し、どれくらいの時間焚火を使用するかで必要量を準備するのがポイントです。
針葉樹と広葉樹の簡単な見分け方
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用途に合ったお目当ての薪を購入したくても、お店によっては「薪ひと束¥◯◯」とザックリ書いているときもあり、針葉樹なのか広葉樹なのか分からず困ってしまうこともしばしば・・・。
しかし、薪の種類が分からなくても「重さ」や「見た目」で簡単に見分けることが可能です。
【針葉樹】・・・手にしたときに軽く、樹皮が剥がれやすい
【広葉樹】・・・手にしたときに重く、樹皮がゴツゴツしている
それぞれ以下に解説していきます。
針葉樹の見分け方
針葉樹は、年輪の間隔が広く密度が低い(中身が詰まってない)ので、薪を手に持ったときに軽く感じるのが特徴です。
また、樹皮が薄く剥がれやすいので、薪の表面をチェックすることでも簡単に見分けることが出来ます。
広葉樹の見分け方
広葉樹は、年輪の間隔が狭く密度が高い(中身が詰まっている)ので、手に持ったときにズッシリ重く感じます。
また、樹皮がゴツゴツしているのも特徴であるため、見た目で簡単に見分けることが可能です。
火持ちのよい薪の選び方
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ゆったり焚き火を楽しむためには、火持ちのよい薪を選ぶのがポイントです。
燃焼時間が長く火持ちのよい薪を選ぶことで頻繁に薪を焚べる必要がなくなり、効率よく薪を燃やすことが出来ますよ!
そこでここからは、火持ちのよい薪を選ぶときのポイントをご紹介していきます。
しっかり乾燥していてズッシリ重みのある薪を選ぼう!
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火持ちのよい薪を選ぶときは、「しっかり乾燥していて手に持ったときにズッシリ重みのある薪」を選ぶようにしましょう。
一般的に針葉樹より広葉樹の方が燃焼時間が長いとされていますが、そもそも薪に含まれる水分の比率(含水率)が多いといくら広葉樹でも火力が上がらず煙も多くなり燃焼効率が悪くなってしまいます。
そのため、薪の種類だけでなく、しっかり乾燥した「含水率が20%以下」の薪を選ぶのがポイントであり、「実際使ってみたけど火持ちしなかった・・・」という失敗をすることなく、ゆっくり焚き火を楽しむことが可能です。
薪の乾燥度の見分け方
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薪に含まれる含水率は、「デジタル含水率計」で詳細に計測することが可能です。
しかし、「わざわざ購入するのは気が引けてためらってしまう…」という方が多いのでは?
そこで、専門器具がなくても薪の乾燥度を簡単に見分けるチェックポイントを4つご紹介していきます。
- 薪の色をチェックする
- 薪にヒビが入っているかチェックする
- ザラザラしているか触ってチェックする
- 薪同士を叩き合わせて音をチェックする
ポイント①薪の色をチェックする
しっかり乾燥した薪は、色がくすんでいるので見た目で簡単に見分けることが可能です。
生薪よりも色が明るい場合は、乾燥していない場合があります。
ポイント②薪にヒビが入っているかチェックする
薪にヒビが入っているかもチェックポイントです。
ヒビがあることで薪が乾燥しているというと見分けることが出来ます。
ポイント③ザラザラしているか触ってチェックする
乾燥した薪は、断面がザラザラしているので触ってみることで見分けることが可能です。
逆に、薪の断面が滑らかな場合は乾燥していない場合があります。
ポイント④薪同士を叩き合わせて音をチェックする
薪同士を叩き合わせ、「カンカン」と高い音がすれば乾燥していると見分けることが可能です。
生薪より鈍い音がする場合は、乾燥していない場合があります。
失敗しない焚き火の火起こし方法
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ここからは、焚き火初心者を対象に、失敗しない薪の火起こし方法をご紹介していきます。
そのポイントが、以下の3つ。
- 燃えやすい針葉樹を「焚き付け」に
- 空気の通り道を意識して薪を組む
- 針葉樹と広葉樹を組み合わせて使うと効果的
以下に詳しく解説していきます。
燃えやすい針葉樹を「焚き付け」に
薪で火を起こす際は、油分を多く含んで燃えやすく火力のある針葉樹を焚き付け(火をつけるための燃えやすいもの)に使うようにしましょう。
火付きの悪い広葉樹や太い薪にいきなり着火してもなかなか火がつかず火起こしに失敗してしまいます。
そのため、細く小割にした針葉樹を焚き付けにすることでスムーズに火を起こすことが可能です。
空気の通り道を意識して薪を組む
薪が燃える仕組みとして、薪を熱することで可燃性ガスが発生し、その可燃性ガスと酸素が結びつくことでドンドン火が大きくなります。
そのため、火起こしする際は「空気(酸素)の通り道を意識して薪を組む」のがポイントです。
また、火は燃えると下から上へと上昇する性質(煙突効果)があるため、適度に空間を設け高く積むよう薪を組むことで効果的に火を起こすことが出来るでしょう。
針葉樹と広葉樹を組み合わせて焚き火に使うと効率的
針葉樹と広葉樹を組み合わせて焚き火に使うと効率的です。
着火するときは火付きのよい針葉樹を焚き付けに使い、火が安定したタイミングで広葉樹を焚べることで燃焼時間が長くなり火持ちがよくなります。
このように、それぞれ持つ薪の特徴を上手く使い分けることで、火起こしに苦労したり無駄に多くの薪を消費したりすることなく快適に焚き火を楽しむことが可能です。
焚き火の火持ちをよくする薪の割り方
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火起こしするときは、細く小割りにした焚き付けから火をつけるのが鉄則ですが、火起こしが済んでしまえば大きく割った薪を焚べることで燃焼時間が長くなり、火持ちをよくしたいときに効果的です。
薪を大きく割ることで、針葉樹しか手元にない場合でも火持ちをよくすることが可能であり、もともと火持ちのよい広葉樹は、より一層燃焼時間を長くすることが出来ます。
焚き火に必須な薪割り道具
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薪や丸太を好みの太さにカットして、火付きや火持ちを調整するためには、以下の道具が必須です。
斧
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斧とは、重いくさび型の鉄製刃を柄に装着した道具のこと。
刃の重さを利用し、太い薪を叩き割ることが可能です。
【関連記事】「広葉樹も割れる?【ハスクバーナ】手斧38cmで薪割りをしてみた感想」
ナイフ
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ナイフがあれば、市販の薪をバトニング(小割り)したり焚き付け用にフェザースティック作りをしたりするときに効果的です。
また、ロープを切ったり調理をしたり、さまざまな用途に使用することができるため、焚き火以外でも必ず持っておきたいキャンプ道具のひとつとなります。
【関連記事】「キャンプ初心者におすすめのバトニングナイフ4選!薪割りに挑戦!」
薪割り台
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薪割り台があれば、安定して薪を割ることが出来るほか、地面を傷めることもないので安心して薪割りを楽しむことが可能です。
【関連記事】「コンパクトな薪割り台おすすめ5選!安全&快適にバトニングしよう!」
針葉樹や広葉樹ってどこで買える?薪の購入方法
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針葉樹や広葉樹など焚き火の薪を購入する場合、おもに以下で入手することが出来ます。
アウトドア専門店やホームセンター
手軽に入手するならアウトドア専門店やホームセンターがおすすめです。
アウトドア専門店なら薪選びで分からないことがあっても経験豊富なスタッフに相談することができ、またホームセンターならお安く購入することが出来ます。
キャンプ場や道の駅
キャンプ場なら現地で薪を調達することが出来るので、荷物を少なく抑えることが可能です。
また、キャンプ場に向かう道中に道の駅があれば、地域産の薪を安く売っていることも。
ただし、キャンプ場や道の駅では薪を販売していない場合もあるので、事前に確認しておく必要があります。
通販サイト
Amazonや楽天市場など通販サイトでも薪を購入することが出来ます。
実店舗では取り扱っている種類に限りがあるため希望する薪が入手出来ないことがありますが、通販サイトなら種類も豊富にあるため、自宅でゆっくり選んで好みの薪を手にすることが出来るでしょう。
また、薪の販売を専門とした通販サイトなら、より種類が豊富でしっかり時間をかけ乾燥させた品質のよい薪を入手できるなどのメリットがあります。
まとめ
今回は、焚き火の基礎知識として「針葉樹」と「広葉樹」の特徴や燃焼時間の違い、また効果的な使い分け方を完全解説してみました。
火付きがよく火力のある針葉樹は焚き付けに、また火持ちのよい広葉樹は長時間焚き火を楽しみたいときなど、それぞれの特徴を上手く使い分けることで、よりスムーズで快適な焚き火を楽しむことが出来ます。
今回紹介した「針葉樹」と「広葉樹」の基礎知識を参考に、焚き火上級者を目指してステップアップしてみてくださいね!