キャンプの時はもちろん、家庭で使ってもかなり便利な鉄製のフライパン(スキレット・ダッチオーブン…など)ですが、使う前にしっかりシーズニングといわれる”油ならし”が必要なんです!
よくシーズニング=オリーブオイルと聞きますが、実はそれ間違いです!
今回は「サラダ油」を使った正しいシーズニング方法と、なぜオリーブオイルよりもサラダ油のほうがシーズニングに向いているのかについて、両油の成分を元に徹底的に解説していきます!サラダ油とオリーブオイルでシーズニングをして比較もしてみました。
- これからテッパンやスキレットを購入する
- シーズニングのやり方を知りたい
- 道具を大事にして、長く使いたい
という方は必見です!
当記事のコンテンツ
そもそもシーズニングとは?
”シーズニング”。なんだか聞いたことあるような無いような…。そんな言葉ですが、その意味には2種類あり、1つ目は”調味料”という意味。そしてもう1つが”鉄製の鍋(スキレット)の油ならし」という意味です。
1つ目で紹介した「調味料」という言葉が派生し”粉末の調味料”・”乾燥した調味料”という意味でも使われています。
そして、「シーズニング=乾燥」となり、鉄製のフライパンの表面を乾燥させる。という使われ方をしだしました。
「調味料」→「乾燥した粉末」→「乾燥」→「鉄製の鍋の油ならし」とこのような流れです。
一体何のために鉄製の鍋にはシーズニングが必要なのかというと、ズバリ「さび防止」「食材のこびりつき・焦げ付き防止」のためです。
新品の鉄製の鍋にはさび防止として、工業用のワックス・シリコンが塗られています。なので、使う前に1度このワックス・シリコンをきれいに洗い流し、新たに油を馴染ませて鍋の表面に油の膜をはってから使わないといけません。
シーズニングの正しい手順
出展:Pixabay
鉄製の鍋を使い始める前にシーズニングが必要だということが分かったので、次にシーズニングの手順について紹介していきます。
※シーズニングは非常に高温な作業になるので、軍手などをつかい火傷を防ぎましょう。また油を熱するのでヒドロペルオキシドという有害物質が発生します。換気も忘れずに!
シーズニングの手順・新品の鍋の場合
- 洗剤できれいに洗う~工業用のワックス・シリコンをきれいに洗い流します
- から焼きする~鍋を火にかけ酸化被膜(黒錆)を作る※鍋の位置を変えながら全体が青みがかった銀色になるまで熱します。約600度まで熱します。家庭用のコンロだと数十分かかるので火事に注意
- 油でコーティングする~キッチンペーパーを使い、ふちや取っ手など全体に油をなじませる
- 1度冷ます
- 軽く油を引き野菜のくずを炒める~野菜を炒めると鉄臭さが消えます。少し焦げるまで炒めるのがポイントです
- キッチンペーパーで油をふき取り、から焼きする
というのが、シーズニングの基本的な流れになります。手順の5で紹介した野菜を炒めるという項目は省略してもかまいません。それ以外はしっかり行いましょう。
分かりやすいように動画も載せておきます。
シーズニングの手順・中古の鍋の場合
中古で購入した鉄鍋や、すでに何度か使用した鍋に再度シーズニングをする場合は、上記の”洗剤で洗う”という作業の前に、表面の汚れをきれいに落とし、鉄の表面をむき出しにする必要があります。その方法は
火でひたすら熱する!
この方法が手っ取り早くで確実です。鍋表面に付いている汚れをボロボロに炭化するまでひたすら熱しましょう。家庭用のガスコンロやIHは機種によって自動的に火力が弱くなったりするので、カセットコンロやバーナーを使うのがおすすめです。(※非常に高温になるので、ガス缶の遮熱対策は忘れずに!)
その後鍋が冷めるまで待ち、紙ヤスリで鍋の表面を磨いていきます。まずは240~400番で表面の汚れを磨き、その後600~800番で磨き傷を消していきましょう。スキレットでは分かりにくいですが、銀色が見えるまで行います。その後は新品の手順と同じです。
シーズニングを行う際に使う油でよく”オリーブオイル”が紹介されているのですが、実はオリーブオイルよりもサラダ油のほうがシーズニングに向いているんです!その理由について次で紹介しますね。
なぜオリーブオイルよりもサラダ油?
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油には乾性油・半乾性油・不乾性油の3種類があり、油に含まれている不飽和脂肪酸の量で決まってます。乾性油が不飽和脂肪酸の量が多く、空気中で完全に固まる油です。不飽和脂肪酸の量が少ないものは不乾性油で、空気中で固まらない油のことをいいます。
シーズニングに向いている油というのは、乾性油が最適で、その次が半乾性油となっています。といわれてもよく分からないと思うので、具体的にどんな油があるのか紹介しておきます
[box04 title=”乾性油”]- 亜麻仁油
- ベニバナ油(サンフラワー油)
- ひまわり油
- えごま油
- コーン油
- ごま油
- オリーブオイル
- なたね油(キャノーラ油)
と、このような感じです。
オリーブオイルの成分について
なぜオリーブオイルがシーズニングに向いていないのかというと「不乾性油=空気中で固まらない油」なので、簡単にいうと皮膜を作りにくいということです。
もう少し詳しい話をすると、オリーブオイルの不飽和脂肪酸である”オレイン酸”(C17H33COOH)は二重結合といわれる不飽和結合の結びつきが1か所しかなく、乾性油の不飽和脂肪酸”リノール酸”(C17H31COOH)は二重結合が2か所あるので結びつきが強く、皮膜に適しているということです。
少し難しい話ですが、とにかくシーズニングに適しているのは、乾性油(亜麻仁油・ベニバナ油・ひまわり油・えごま油)で、不乾性油(オリーブオイル・なたね油)は皮膜づくりには向いていないということです。
※乾性油が手元にない場合には半乾性油(コーン油・ごま油)でもシーズニングは可能です。
サラダ油とオリーブオイルでシーズニングをしてみた
丁度シーズニングしたいスキレットが家にあったので、出来上がりに違いはあるのか?
オリーブオイルとベニバナ油それぞれでシーズニングしてみました。
1、しっかり”から焼き”して表面の汚れを取り除くために炭化させる。隅の方が特に汚れているので、動かしながら全体に火があたるようにします。
2、紙ヤスリでとにかく磨く。銀色が見えるまでひたすら磨きます。
3、洗剤を使いきれいに洗う。紙ヤスリで磨いてでたカスなどをきれいに洗い流します。
4、600℃まで熱して、酸化被膜(黒錆び)を作る。左半分が青っぽくなっているの分かりますか?全体がこの色になるまで熱します。
4、油を馴染ませる。あとは油をキッチンペーパーで薄くなじませていきます。人によっては何度も油を塗り重ねる人もいるみたいですが、今回は1度のみ油を塗りました。
※野菜を炒める工程は省きました。
この工程を”オリーブオイル”と”ベニバナ油”でそれぞれやりました。
比較検証!結果はいかに…。
まずはオリーブオイルから!
このような感じで、表面はうっすら膜がはっているような?うーんどうかな…?という感じでした。
次にベニバナ油でシーズニングしたスキレットはこちら!
表面にある膜の厚さが全く違います!ツヤも格段にベニバナ油の方がいい感じです。
比べてみると、その違いがはっきり分かりますね!
シーズニングは乾性油のサラダ油で決まり!
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今回はスキレット・ダッチオーブンなど鉄製品には欠かせないシーズニングについて紹介しました。シーズニング=オリーブオイルという考えが一般的だと思いますが、実際に乾性油(今回はベニバナ油)・不乾性油(オリーブオイル)でやってみて比べると、その仕上がりは全く違いました。
この後2つのスキレットを使って料理をしたのですが、やはりベニバナ油の膜の方が長持ちします。
※後日オリーブオイルでシーズニングしたスキレットもベニバナ油でやりなおしました。
これからスキレット・ダッチオーブンのシーズニングをする人は是非参考にしてみてください!