キャンプをする上で何かと問題になってくるのが、自動車への積載ではないでしょうか。
キャンプギアの更新をするたびに、これまでの積載方法が微妙に変化します。そして、キャンプに行く直前になり自宅ガレージで悩ましい問題と格闘するなんてことも、しばしば。
そんな悩みから解放されるためにも、荷室が優秀な自動車に目を向けて見ませんか。
今回は、そんな悩みをもっていた筆者が、キャンプ用自動車を購入するにあたって、レンタカーなどを利用して様々な車種に乗ってきた経験も踏まえて5車種をご紹介したいと思います。
当記事のコンテンツ
荷室がキャンプ向きか不向きかを左右する!
積載スペースが広いかどうか
これは、基本ですよね。
狭いより広い方が良い!
大まかに分けると、初めから荷室スペースが広い自動車と、シートを倒したり跳ね上げたりして必要な時だけ荷室スペースを確保できる自動車があります。
荷室スペースが初めから広い自動車は、商用タイプだと2列目シートが簡易で快適性は望めませんが、2列目シートを倒すと、さらに大空間を実現することが出来ます。
お仕事用などで、よく見かけます。
逆に、2列目シート以降がしっかりとしたタイプであれば、予算がグンと上がるので悩ましい所ではありますが、日常でもキャンプでも快適でしょう。
シートを倒したり跳ね上げるタイプでは、展開時の状況が車種によって様々でイメージと違う場合もあるので、購入前に実際に試してみるのは必須条件になるでしょう。
積載しやすいかどうか
サクッと積載して、キャンプ場へ向かいたい。
ストレスなく積載作業を終わらせるためにも、地上面から自動車の床までの高さやリアドアがどのように開くのか、積載スペースの状況などがポイントとなってくるでしょう。
最近の自動車は、キャンプブームのあおりを受けてなのか、荷室や乗りやすさを意識していているものが多く、地上面から自動車の床までの高さを低く設定しています。
HONDAステップワゴンにおいては390mmなので、お子さん1人でも乗り降りしやすいことに加え、低床であるがゆえに、シートを倒した時も荷室空間が広く取れアプローチしやすくなっています。
リアドアに関しては、跳ね上げ式では180度どこからでもアプローチ可能で、ふいの雨でも気にせず作業が出来ます。
観音開きは、ドアがどこまで開くかによってアプローチが制限されそうですね。
標高が高いキャンプ場などでは強風をうける可能性もあるので、小さなお子さんがいらっしゃる方は特に気を付けましょう。
荷室スペースに関して賛否両論あるのが、3列目シートを跳ね上げするタイプです。
跳ね上げた両サイドにあるシートが圧迫感があったり、3列目シートをスライドさせたり固定するための床のレールやクボミは、積載時にモヤッとさせられます。
跳ね上げたシートが手前にあるという事もあり、積載時も除けながらの作業になるのでストレスに感じるユーザーの声は多いです。
逆に、跳ね上げたシートを活用して自作棚を作成することで、快適な積載を実現している方も多いです。オリジナル性と豊かな発想は、新たなキャンプギアが参入しても美しく攻略させることでしょう。
メーカーの謳い文句も参考にしつつ、実際の荷室スペースの確認は必須ですね。
荷室が自在に変化するかどうか
キャンプをすると言っても、毎日ではありませんよね。
週末等が多く、平日は日常使いが多いのではないでしょうか。
排気量が大きく荷室が広い自動車で、子供の送り迎えやスーパーに買物というだけでは、やや燃費効率が悪く勿体ないような気もします。しかし、日常でも多めの荷物を積むことが多い方には適しているでしょう。
また、日常は乗用としての目的で使用しつつ、シーンに応じて荷室が自在に展開する自動車だと色々と使いこなせそうですよね。
こだわりや予算、積載量、家族構成、キャンプをする頻度などによっても選ぶ基準が変わってきますよね。
荷室が優秀なキャンプ向け自動車
NISSAN NV200バネット マルチベッドワゴン
「たっぷり遊ぼう、ゆったり泊まろう」というコンセプトで、まさにキャンパーのために発売されたのが、日産NV200バネットマルチベッドワゴンです。
製作は、特装車を手掛けるオーテックジャパンが担当しています。
カラーは単色展開もありますが、キャンパーなら、2トーンの水色かサンドベージュ系の2択になりそうですね。
最大の特徴として、2列目シートを倒しサイドに跳ねあげている後部ベッドを倒すと、広くて大人2名がゆったりと休むことができるフラットなベッドが現れます。
フラットでしっかりとしたフロアパネルが採用されているので、車中泊の快適性も抜群でしょう。
奥行が1720mmなので、大柄な方だと快適ではないかもしれませんが、少し不便な感じもキャンプの楽しみとしてとらえて頂きたいです。
3人以上のオートキャンプであれば、積載したすべてのキャンプギアを出さなくても、このマルチベッドを棚として活用することでスマートなキャンプが出来そうですよね。
フロアパネルは防水性があるので、キャンプギアで多少汚れても拭き取りが簡単になっています。
また、ベッドやキャンプ時の棚としての活用以外にも、自動車への積載時にそのまま棚として活用できるので、積載に悩むストレスが無くサクッとキャンプ場へ向かえそうです。
さらに、後部のベッドを左右に跳ね上げると、日常での大きな荷物の運搬も可能になっています。荷物によっては、片方だけを荷室にすることも可能です。
ベッド未使用時はリアサイドに跳ね上げた状態になるのですが、シートのように大きく主張せず圧迫感がないのも嬉しいポイントですよね。
多彩なアレンジが可能になっているので、シーンを選ばずオールマイティに大活躍してくれるでしょう。
日産NV200バネットマルチベッドワゴンは、車中泊の快適性と利便性をとことん追求したキャンパーにとっては至れり尽くせりの自動車になっています。
HONDA ステップワゴン スパーダ
キャンプブームの後押しやファミリカーとして大人気のミニバン市場の中で、他のミニバンと一線を画すのが、Hondaステップワゴンスパーダでしょう。
大きな特徴の1つが「マジックシート」です。
3列目シートが床下への格納式になっており、フラットな床に早変わりします。
3列目シートの肩口にあるストラップを軽く引けば、連動して背もたれが前に倒れていくので、女性でも簡単に行えます。
積載時のストレスもなく、2列目シートを前方へスライドさせれば巨大な荷室が現れ、126cmのソファーも楽々と積載できます。
また、183cmのカーペットであれば、片方の2列目3列目シートを後部へ倒すだけです。
積載物によって様々なアレンジが出来るので、積載問題がイチイチ発生しないのもノンストレスですよね。
そのような点でも、キャンプ用自動車として乗りたいミニバンとして、上位に挙がってきているのでしょう。
さらに、低床フロアの採用で乗り降りが楽であることや、大きな特徴の2つ目としてポイントが高いのが「わくわくゲート」でしょう。
わくわくゲートとは、縦方向だけでなくリアゲートの約2/3が横方向にも開く構造になっている、ステップワゴンスパーダのみの開閉方式です。
狭いスペースでテールゲートを開けるときに、640㎜の空間さえあれば、ドアが後方の壁やクルマにぶつからないか心配する必要はありません。
キャンプ場へ行く途中で購入したものを後方のクーラーボックスへ入れたい時も便利ですし、3列目シートを格納しておけば、ベビーカーもたたまず積載できるのです。
7人乗りという事で大家族向けのようですが、日常使いとキャンプ用使いを一緒に叶えてくれる自動車として、大家族から小家族の方までの幅広い層向けの自動車でもありますよね。
HONDA モビリオスパイク
2002~2008年に販売されていた遊び心のあるモビリオスパイク。
残念ながら、現在は中古車市場でしかお目にかかれませんが、荷室に拘りつつ予算を抑えたい方なら知っておいても良い自動車だと思います。
1列目シートを後部へ倒し2・3列目シートを床下へダウンさせると、奥行が2620mmという圧倒的に広大でフラットな大容量空間を実現しています。
スライドドア入口の高さが405mmという低床を実現しているモビリオスパイクは、有効積載高さが部分的に1390mmにも出来ます。
変幻自在のシートアレンジにより、どのような荷物でも受け入れてくれる、真の意味での大きさがある自動車なのです。
さらに、駐車スペースが狭い場所や隣の車が気になる場所でも、全く気にせず左右どちらからでも乗り降りできる両側スライドドアになっています。
スライドドアが570mmまで大きく開き低床という事で、荷物の出し入れがスムーズに行えるでしょう。
お財布に優しいモビリオスパイクは、平均価格が25万円前後で、走行距離が少ないものでも60万円前後になっているようです。
生産終了後も長年に渡って大人気になっている車種に比べると、 そこまで人気は無く地味な存在かもしれません。しかし、最近では、カスタムされてオシャレ度が増したモビリオスパイクを見かけるようになりました。
荷室問題を難なくクリアーしていて低価格、さらに、見た目もオシャレになったモビリオスパイク。
中古車市場で、色々とググってみると運命の出会いがあるかもしれませんよ。
RENAULT グランカングー
カングーと言えば、日本でもお馴染みのフランスの香りをプンプンさせたオシャレな5人乗り自動車ですよね。
しかし、今回ご紹介するグランカングーは、3列シート7人乗りになります。
残念ながら、ルノー販売店に行っても購入は出来ず、並行輸入になります。
また、左ハンドル仕様のみになっているので、ここで抵抗を覚える方もいらっしゃるでしょうか。
ネットなどで検索すると国内で取り扱っている販売店も多く出てくるので、気になる方はググってみるのも良いでしょう。
グランカングーの全長は4,666mm。グランと付くだけあり、4,282mmの5人乗りカングーに比べて384mm長くなっています。
どちらも1列目左右のドア部分までは同じなのですが、グランカングーは、ドアから後ろのホイールアーチまでの部分が長くなっています。
それによって、スライドドアが大きく開くようになっているので、乗り降りと積載がさらにスムーズに出来るようになっています。
グランカングーの最大の特徴が、3列目シートが取り外せるという事です。
日本では、シートの取り外しは乗車定員の変更になり不法改造とみなされるので、国産車で行う事は原則違法になるようです。
国産車でも一部の車種で取り外し可能な自動車もありますが、事故時に保険が降りないなどの制約があるので、自動車メーカーなどに事前に確認しておくことをオススメいたします。
そのような点からも、堂々と外せるグランカングーはかなり珍しいですよね。
ただ、グランカングーのこのインテリアを知らない警察の方に声を掛けられた時、長い説明は必要になってくるかもしれません。
家族構成にもよりますが、5人家族なら初めから3列シートを外しておくことも出来ますよね。
3列目シートを取り外した時の荷室の長さは1,328mmになり、2列目シートを折り畳むと2,850mmになります。
積載もスムーズですが車中泊も出来そうで便利ですよね。
両側スライドドアに加えリアは観音開きになっているので、どちからでもアクセスはしやすそうです。
荷物を乗せるという事を前提に作られているので、シートアレンジとアクセスの良さはお墨付きですね。
オシャレで荷室のアレンジがし放題のグランカングー。
並行輸入で維持費もかかるとは思いますが、3列目シートをサクッと外しストレスのない広大な荷室が現れた時には、グランカングーにして良かったと思えることでしょう。
VOLKSWAGEN ヴァナゴン
聞きなれない方も多いかと思いますが、ヴァナゴンは、フォルクスワーゲンから発売されていたバンタイプの自動車で、日本では1990年から販売されているようです。
人と違うキャンプ用自動車を探し始めた時に、海外車に目を向けていたら偶然見つけたのがヴァナゴンでした。
クラシックな形に惹かれると同時に、荷室の広さに「これしかない!」と思いました。
キャンプブームの後押しもあり、筆者のような、人とは違うオシャレな自動車を探しているキャンパーさんに人気があるらしく、入荷すると見学に来る方も多く直ぐに契約される方もいらっしゃるようです。
ヴァナゴンの荷室の広さは、海外車らしくビッグスペースになっています。
国産車であれば3列目シートを倒して荷室を確保するという感じですが、3列目シートはそのままでも荷室自体に十分な荷室スペースがありますよね。
さすがです!
海外車のバンタイプはビッグさが違いました。
スライドドアは片面のみですが、このビッグさなら気になりません。
積載もスムーズですが、ステップもあるので人の乗り降りもかなり余裕です。
スペースが余っているという表現が正しいのかどうか分かりませんが、3人家族のわが家では空間を持て余すという感じです。逆に、お互いの両親連れでキャンプ計画をしても、人もキャンプギアも余裕で乗ります。
タイプによって内装が違うようで、2列目と3列目を向かい合わせたスタイルもありました。サイドから簡単に展開できそうな簡易テーブルも嬉しいインテリアですね。
また、2列目シートを外す事も出来るようなので、荷物をリアから乗せなくても、ある程度までの荷物なら人と荷物がスライドドアから同時に乗り込む事も出来そうです。
ベビーカーなども余裕で乗りそうですね。
見た目も荷室の広さも魅力的なヴァナゴンですが、気を付けたい点もあります。
古い自動車ゆえの故障やメンテナンスは付きものなので、そこは納得した上で購入した方が良さそうです。
故障しやすいタイプがあったり色々な癖もありますので、ヴァナゴンを専門で扱っている自動車屋さんと交渉することをオススメいたします。
手がかかるほど愛おしいと言う言葉通りのヴァナゴンですが、キャンプ場で人と被りたくない方にオススメです。
荷室を制して充実したキャンプをしよう!
荷室が優秀なキャンプ用自動車を5選、ご紹介しました。
共通するポイントは、シートアレンジやスライドドア、そして積載する際にストレスのない空間作りが出来るという事でした。
キャンプブームの煽りを受けて様々な自動車メーカーが、キャンプというワードや広告を展開しています。最近のCMも、キャンプシーンが多いことにお気づきでしょうか。
しかし、宣伝文句やCMに惑わされず、現物を見てしっかりと確認することをオススメいたします。
荷室を制すれば、今後のあなたのキャンプライフは快進撃を続けることでしょう。