キャンプブームの煽りをうけて、キャンプなどのアウトドア全般を意識した車種の割合が増えていますよね。
CMでも、アウトドアを全面に押し出したものが多くなっていることにお気付きでしょうか。
特に、軽自動車の弱点であった荷室の狭さは、年々大幅に改善されており、軽自動車でも積載に満足していただきながら、アウトドアを楽しめるようになっているのです。
軽自動車であれば、普通車に比べると初期費用に加え維持費も安く、運転が苦手な方でもハードルが低いですよね。
今回は、軽自動車でもキャンプ用品がたくさん積めるオススメの軽貨物車をご紹介しますね。
当記事のコンテンツ
OEMを理解した上で、荷室の広い軽自動車選びを効率的にしよう!
似たような見た目の軽自動車が多いのは?
街中を走っている軽自動車を見ていると、メーカーは違うのに同じような形やデザインの車種を見かけることはないですか。
意外と御存知ない方も多いのが、OEMという制度。
車の基本的な構造は同じでメーカーのエンブレムやデザインを少し変更し、別のメーカーへ供給された車の事をOEM車と言います。
A社のオリジナルブランド車を、B社へOEM車として供給するというイメージです。
基本的に同じ車なので、C社やD社へも供給できればOEM車が多くなり選択肢は増えます。
もちろん、車に限った事ではなく世の中には様々なOEM商品が存在します。
それぞれのメリットもあります。
提供する側は、一定の仕事量が確保出来たり技術水準を向上する事が出来ます。
提供される側は、開発費などを抑えられ、生産能力不足のカバーが出来ます。
消費者側からすると、選択肢が増える上に商品によっては低価格で購入する事が可能です。
構造は同じなので、荷室の広さも変わりません。
消費者として、オリジナルブランド車も含めた各自動車メーカーのオリジナル性などを見比べていけば、自分に合った車に出会えるのです。
軽自動車の軽貨物車がキテル!?
2020年の自動車全体の新車販売台数は、新型コロナウイルス感染拡大によって大幅に減少しました。
軽自動車新車販売台数に関しては、2019年までは3年連続でプラスになっており、特に商用タイプの軽貨物車は2018年と比較すると155.0%と大幅に販売台数を伸ばしていました。
2020年は販売台数は減少したものの、後半にかけて軽貨物車は徐々に回復傾向をみせています。
軽貨物車の販売台数が回復傾向にある要因は様々あるのでしょう。
要因の一つとして、各自動車メーカーの荷室の広さやデザインに対する拘りが、昨今のアウトドアブームのユーザーの目に留まった事があるのではないでしょうか。
「あれ・・・!キャンプで使えるんじゃない?」
仕事モードだった地味な軽貨物車が少しづつ街乗りのオシャレな車として変貌する中で、キャンプなどの趣味を楽しむ上での頼れる相棒として魅力を発揮し始めたのです。
筆者の周囲でも、贅沢な排気量の大きい車から軽貨物車に変え、カスタムを楽しんでいるキャンパー仲間も徐々に増えています。
「小さいのに使えるヤツ」という感じで、これまでの車よりも愛着も湧くようですよ。
軽貨物車は維持費が安く実用性も抜群である事、車種を絞った専門のカスタムショップも増えてきた事もあり、経費が浮いた分をカスタムに廻すことも出来ます。
キャンパーさんの中には拘りの強い方も多いです。
安くてオシャレに変貌しているは、キャンパーの要望に叶う要素が多いのかもしれません。
代表的なオリジナルブランド軽貨物車3選!
OEMを理解していただいた上で、OEM車の基になる代表的なオリジナルブランド車3台と、それに伴うOEM車をご紹介します。
みなさんをワクワクさせる軽貨物車に出会えるでしょうか。
スズキ エブリイ
エブリイは、1982年にキャリイバンの上級仕様であるエブリイとして初代が発売されました。
2015年に発売された現行モデルは、荷室長・荷室幅・荷室高・荷室床面長がそれぞれ延長され、荷室床面を低床化したことで作業性の向上を図っています。
スズキのエブリイのOEM車は、マツダのスクラムバン、日産のNV100クリッパー、三菱のミニキャブバンの3車種になります。
当たり前ですが、マツダのエンブレムが無ければ、エブリイなのかスクラムバンなのか分かりませんよね。
荷室の広さは、2名乗車時の荷室床面長が1,955mm、荷室幅と荷室高(ハイルーフ車)も余裕があり、軽貨物車の中でも圧倒的な荷室の広さを実現しています。
さらに、助手席を前に倒すと床面長は2,640mmとなり、カーペットなどの長尺物の積載も可能です。
荷室の展開も、シートをパタンと倒すだけなので簡単ですよね。
と言いつつ、エブリイは、なぜ圧倒的な荷室の広さを実現しているのでしょうか。
一般的な車は、エンジンの位置が運転席より前にレイアウトされています。
エンジンが運転席より前になるので、フロント部分が前にしっかり出るデザインになります。
しかし、エブリイのエンジンの位置は運転席下にレイアウトされています。
エンジンを運転席下にレイアウトする事で、フロントをギリギリまで短くする事が出来ますよね。
そうする事で、後部の室内空間を最大限の広さにまで拡大する事が可能となったのです。
少しでも多くの荷物を積みたいという方には、エブリイがオススメです。
また、荷室以外の収納として便利なのが、運転席上部にある収納スペースでしょう。
軽貨物車なので配達時の書類入れとして設けられていると思いますが、軽乗用車には無いなかなか使える収納だと思います。
最近は必要以上に小物収納があり、未使用のままで存在すら忘れている事がある一方で、A4ファイルサイズ程度の物や薄型のボックスティッシュが入る収納は、なかなかありません。
結局、助手席や後部座席に置いたり、カーショップなどで後付けの収納を買う事が多いですよね。
それに比べると、障害物もなく手を伸ばせばスッと届く位置にあるのもポイントが高いですよね。
最近ではカスタムされる方も多く、オリジナル性に拘ったエブリイも見かけるようになりました。
自作される方もいれば、ネットを開けばカスタム専門ショップの存在も多くあります。
余裕資金がありオリジナルに拘りたい方は、このような車の楽しみ方をされても良いですよね。
いや・・・余裕資金がなくても、オリジナルティ溢れる魅力的なカスタムカーを見てしまうと、ついつい妄想してしまい購入検討してしまうのがキャンパーの性かもしれません。
ダイハツ ハイゼットカーゴ
ダイハツ・ハイゼットは、1960年の発売から累計生産台数600万台を優に超える長い歴史をもつ軽自動車になります。
今、このデザインが復刻販売されたら、キャンパー達が直ぐに飛びついてしまいそうな愛らしいデザインですよね。
ハイゼットカーゴは、1961年に登場したハイゼットライトバンから始まり、現行モデルは2004年10月に発売された10代目になります。
と言っても、2017年11月に、フロントグリルやヘッドランプなどのデザイン変更や先進安全装備が強化されたマイナーチェンジが行われています。
ダイハツのハイゼットカーゴのOEM車は、トヨタのピクシスバン、スバルのサンバーの2車種になります。
荷室の広さは、2名乗車時の荷室床面長が1,950mmになり、前述したエブリイとは5mm違いという気にならない差になっています。
助手席を前に倒した際も床面長は2,630mmと、これもエブリイと大差ない数字になっています。
ハイゼットカーゴもエンジンを運転席の下にレイアウトしており、荷室の広さへの拘りを感じられます。
キャンプなどで車中泊を考えていらっしゃる方であっても、問題ない数字と広さでしょう。
ハイゼットカーゴの全高は、ハイルーフ仕様で1235mm、ロールーフ仕様が1115mm。
荷室総面積と考えると、エブリイよりも若干狭くなっていますが、気にするまでもない差だと思われます。
後はデザインや自動車メーカーの好み、特化したアクセサリー次第で選択方法が変わるのかもしれません。
今回、ご紹介している3種の中でも、ハイゼットカーゴがエブリイよりも明らかに上回っている点は、標準装備ではないものの、MT車にも先進安全装備の選択できる事でしょうか。
ハイゼットカーゴはMT車でも先進安全装備付きを選べるのに対し(一部除く)、スズキエブリイのMT車では選ぶことは出来ません。
近年はATドライバーの比率が多いので、気になる方は少ないかもしれません。
しかし、その少ないドライバーに対しても選択肢を与えているという点では、ダイハツのハイゼットカーゴを高く評価しても良いような気がします。
さらに、MTドライバーの方は運転する事が好きだったり拘りもあると思われるので、キャンプで遠出したりドライブされる方も多いでしょう。
運転する機会が多ければ尚更、先進安全装備の有無は重要になってくると思われます。
追突事故などでは、一般的に軽自動車はボディが弱いと言われているので、命を守るためにもMT車への先進安全装備の選択制は有難いポイントです。
ホンダ N-VAN
ホンダN-VANは、Nシリーズ初の商用車として2018年7月にデビューしました。
前述の2車種が似たような機能や快適性で戦っているのに対し、N-VANにはOEM車もなく、全く違う路線で挑んできています。
N-VANのエンジンのレイアウトは、エブリイなどと違って運転席の前にしたままです。
荷室の広さで戦えない分、助手席側をピラーレス構造にして開口時の幅が1580mmという作業効率性や乗り降り性を打ち出しています。
また、運転席を除いた車内全体がフラットな荷室になるシートレイアウトは、見ていて気持ち良いくらいにスッキリとした印象です。
室内の広さを見ていくと、エンジンが運転席の前にレイアウトされているために室内の奥行きは競合車よりは劣り、2名乗車時の荷室床面長で1585mmとなります。
しかし、全高でみると1365mmとなっており、床面長で競合車に敵わない分を高さで補っているようです。
車中泊を考えている場合には、幅は狭くなりますが、助手席を畳むと2635mmという奥行を実現できます。
大人1人であれば助手席側で就寝し、運転席側でペットやお子様などが就寝するというイメージでしょうか。
オプションのマルチボードを使うと、車内が完全なフラット空間になるので更に快適な車中泊も可能です。
さらに、助手席側の1580mmという大開口を利用した新たなアレンジも提案されています。
コロナ禍になり、車自体をお店としてアレンジされる方も増えていますよね。
乗り降りや荷物の作業性の向上だけではなく、N-VANを生活の一部として楽しむという新しい試みもワクワクします。
また、N-VANは前輪駆動により床が低くなっており、荷室床面までの地上高も52cmなので、後輪駆動であるダイハツのハイゼットカーゴに比べて11cmも低くなっています。
小さなお子様の乗り降りはもちろん、重い荷物なども積みやすくなっているのです。
注意点として、 N-VANはドライバーのことだけを一番に考えた車作りをされているので、助手席や後部座席の作りは簡易です。
座り心地よりも積載性を重要視し、フラットにするための展開性の良さに拘りを感じられます。
ソロキャンパーや恋人、友人といった少人数でのキャンプなどにピッタリでしょう。
今年のキャンプは、積載が進化した軽自動車で出かけよう!
3車種の積載の特徴を比較してきましたが、いかがだったでしょうか。
張り合うエブリイとハイゼットカーゴ、独自路線を行くN-VAN。
それぞれの積載に対する企業努力やアイディアは私達をワクワクさせ、軽自動車でもキャンプ用品をたくさん載せることが可能であることが分かりました。
コロナ禍が収束に向かった後のキャンプ場で、オリジナルティ溢れる軽自動車を多く眺めたいものです。