シュラフ(寝袋)選びの最重要ポイントとなるのが保温性。
季節や場所に応じ最適な保温力のシュラフを選ぶことで快眠することが出来ますが、「快適使用温度」やら「限界使用温度」、またメーカーによって表記が違うなど比較検討する際に見方が分からずお困りではないですか?
そこで今回は、初めてのシュラフ購入や買い替えを検討されている方に向けて「シュラフの基礎知識」とともに「失敗しない選び方」をご紹介!
快適使用温度の見方やシュラフの保温材&形状による保温性の違いなど徹底解説していきます!
当記事のコンテンツ
シュラフ(寝袋)の「快適使用温度」と「限界使用温度」とは?
シュラフ(寝袋)を比較検討する際の最も重要な判断ポイントが「保温力」。
キャンプ場で寒くて眠れないと睡眠不足になり、翌日の活動に影響がでるほか低体温症のリスクもあるため、季節や場所に応じた最適な保温性のシュラフを選ぶことが重要です。
出典:写真AC
そんなシュラフの保温力を見極めるために知っておきたい判断基準が「快適使用温度」と「限界使用温度」。
・「快適使用温度」とは ・・・ シュラフで快適に眠れる温度
・「限界使用温度」とは ・・・ シュラフで眠れるギリギリの温度
快適使用温度とは
「そのシュラフで快適に眠れる温度」のこと。
メーカーによっては「快適温度」や「コンフォート温度」とも呼ばれ、例えばシュラフに「快適使用温度0度」と記載していれば、現地の外気温が0度までなら快適に眠れるという意味になります。
限界使用温度とは
「そのシュラフで眠れるギリギリの温度」のこと。
メーカーによっては「限界温度」や「下限温度」「リミット温度」とも呼ばれ、例えばシュラフに「限界使用温度マイナス10度」と記載していれば、現地の外気温がマイナス10度までギリギリ眠れるという意味になります。
まずは、この2つの違いを理解することで使用シーンに応じた最適な保温性を見極めることができ、シュラフ選びの最重要ポイントとなります。
寒さの感じ方は現地の環境(天候や標高など)や個人差などに違いがあるため、実際寒くて眠れないということがないようギリギリ眠れる「限界使用温度」より「快適使用温度」を基準に選ぶようにしましょう。
そんなシュラフには、快適使用温度が「5度」や「0度」「マイナス10度」などさまざまな種類があり、「どの温度を選べば良いの・・・?」と疑問に思いますよね。
そこで次から、シュラフの最適な快適使用温度について詳しく解説していきます。
季節に対応したシュラフ(寝袋)の快適使用温度を選ぼう!
出典:コールマン公式サイト
シュラフには、主に「春〜秋の3シーズン用」や「夏用」「冬用」など大きく分けて3タイプがラインナップしており、使用する季節に応じた快適使用温度を選ぶことが重要です。
最大手アウトドアブランド「コールマン」では、季節ごとに最適な快適使用温度の目安を以下のように記載しています。
シュラフのタイプ | 快適使用温度の目安 |
春〜秋の3シーズン用 | 0度〜5度 |
夏用 | 10度〜15度 |
冬用 | −15度〜−5度 |
寒さの感じ方には個人差があり、また当日の天候や標高など環境の違いにもより変動するのであくまでも目安とし、一般的に利用するキャンプ場の最低気温から「マイナス5度」余裕をもたせた快適使用温度を選ぶのがポイントです。(※後述する選び方で詳しく解説しています。)
また、地面からの底冷えに対応できるよう、「マット」や「コット」を併用したり服装で調整したりするなど対策することでシュラフの性能をフルに発揮することが出来るでしょう。
冬キャンプにおすすめのシュラフ(寝袋)については、こちらの記事をご参考に!
メーカーによって快適使用温度の表記が違う?!
出典:NANGA公式サイト
快適使用温度の目安は、メーカーにより表記が異なるので比較検討する際に注意が必要です。
これは各メーカーが独自の基準や評価方法を持っていることが原因であり、おもに以下の2つの基準に分けることができます。
- 「ヨーロピアン・ノーム(EN13537)」による表記
- 「メーカー独自基準」による表記
温度表記の基準には、統一規格による「ヨーロピアン・ノーム」と、各メーカーが独自の基準や評価方法により温度表記している「メーカー独自基準」の2種類があります。
ヨーロピアン・ノーム(EN13537)とは?
出典:NANGA
「ヨーロピアン・ノーム(EN13537)」とは、EU諸国における統一規格の総称であり、シュラフ専門メーカーの多くがこのヨーロピアン・ノームを採用しています。
EN(ヨーロピアン・ノーム)とは、EU諸国における統一規格として制定されている規格の総称で、ヨーロピアン・スタンダードとも呼ばれます。スリーピングバックに関する温度表記についてはEN13537で算出が定義されています。今までは各メーカーが独自の方法で算出されていた使用温度を、同一基準で示しています。検査は認定された第三者機関が行う公平なもので、各メーカーの独自基準に基づく使用温度表示とは一線を画すものといえます。
ヨーロピアン・ノームでは、「コンフォート(快適使用温度)」や「リミット(下限温度)」「エクストリーム」の3タイプで表記され、女性は「コンフォート」、また男性は「リミット」を参考にすることで最適なシュラフを選ぶことが出来ます。
ヨーロピアン・ノーム(EU統一規格)を採用したシュラフメーカー
ヨーロピアン・ノーム(EU統一規格)を採用している主なメーカーが以下の通り。
- NANGA(ナンガ)
- ISUKA(イスカ)
- mont-bell(モンベル)
上記は登山用品を中心とするシュラフ3大メーカーであり、第三者機関による公平な評価を行っているので信頼性が高く、同一基準で性能を評価しているので体感温度のズレがなく、メーカー同士で比較検討することが出来ます。
その反面、キャプテンスタッグやロゴスなどキャンプ用品をおもに取り扱う総合アウトドアブランドでは独自の基準や評価で温度表記していることが多く体感温度にズレを感じやすいと言えます。
シュラフ(寝袋)の失敗しない選び方
シュラフを購入する際は、以下の4つのポイントに注目して選びましょう。
- 目安となる温度より「マイナス5度」余裕をもたせた快適使用温度を選ぶ
- 「ダウン」や「化繊」などシュラフの「中綿」をチェック
- 「封筒型」や「マミー型」などシュラフの「形状」に注目
- ダウンの保温性能を示す「フィルパワー」をチェック
それぞれ詳しく解説していきます。
ポイント①目安となる温度より「マイナス5度」の快適使用温度を選ぼう!
出典:O-DAN
シュラフで寒さを感じず快眠するためには、目安となる温度より「マイナス5度」の快適使用温度を選ぶのがポイントです。
季節による温度域はあくまでも目安であり、当日の天候や標高、また個人差により寒さの感じ方が異なるので「マイナス5度」余裕をもたせることで予想以上に冷え込んでも対応することが出来ます。
例えば、春・秋シーズン(目安の快適使用温度:0〜5度)が中心のキャンプスタイルなら、マイナス5度余裕を持たせて「−5度から0度の範囲内」の快適使用温度を、また普段利用しているキャンプ場の最低気温が−5度なら、−10度に対応した快適使用温度のシュラフを選ぶとよいでしょう。
ポイント②「ダウン」or「化繊」?!シュラフの中綿をチェックしよう!
出典:NANGA公式サイト
シュラフの中綿には、「ダウン(羽毛)」と「化繊」の2種類があり、それぞれ特徴が異なります。
シュラフの中綿 | メリット & デメリット |
ダウン(羽毛) | ◯ 軽くコンパクトに持ち運びできる ◯ 保温力に優れる △ 水に濡れると保温力が低下する △ メンテナンスが大変 |
化繊 | ◯ 水に濡れても乾きが早く保温力が安定している ◯ 汚れても洗濯機で洗える △ 重く嵩張りやすい △ 繰り返し使うことで中綿がへたりやすい |
ダウン(羽毛)は、保温性に優れているので標高が高く冷え込みの厳しいキャンプ場での使用に最適であり、軽量コンパクトに持ち運びできるのでバックパックスタイルや登山など携帯性を重視した方におすすめです。
また、化繊はダウンに比べると重く嵩張るためオートキャンプ向けとなりますが、水に濡れても乾きが早く保温力が安定しているので雨や結露しやすいキャンプシーズンに効果的であり、洗濯機で丸洗い出来るので手入れが簡単なのがポイントです。
ポイント③「封筒型」or「マミー型」?!シュラフの形状に注目しよう!
シュラフには、「封筒型」と「マミー型」の形状があり、保温力や使い勝手などに違いがあります。
シュラフの形状 | メリット & デメリット |
封筒型 | ◯ 出入りがしやすく寝返りが打ちやすい ◯ ファスナーを全開にすれば掛ふとんとして使え温度調整しやすい △ 肩や足元が冷えやすい △ 収納サイズが大きく嵩張りやすい |
マミー型 | ◯ 頭まですっぽり被れ保温性が高い ◯ コンパクトに収納し持ち運びできる △ 密着度が高く動きにくい △ 封筒型に比べ値段が高い |
封筒型は、自宅の布団のような感覚で眠ることができ、ファスナーを調整することで全開にしたり足元だけ開放したり温度調整しやすいので使い勝手に優れます。
またマミー型は、密着度が高い分動きづらさがありますが、カラダ全体を包み込み保温性に優れているので冷え込みの厳しい冬キャンプや登山での使用に最適です。
ポイント④ダウンの保温性能を示す「フィルパワー」をチェック!
出典:ISUKA公式サイト
シュラフを選ぶ際は、ダウンの保温性能を示す「フィルパワー」にも注目するようにしましょう。
フィルパワーとは、ダウン(羽毛)の膨らみを表す数値のことで、数値が高いほど空気の含有率が高く断熱性能に優れるので保温性能が高く良質なダウンと言えます。
ダウンの測定基準で「ダウンの強度」または「その圧力に対する反発力」を表すもの。760FPとは30gのダウンに通常の圧力をかけて実験した際、760立方インチ反発するということ。FP指数が高いほど良いダウンと言えます。
一般的には、550フィルパワー以上を目安にし、700〜800フィルパワーが高品質、900フィルパワー以上が最高品質とされています。
マットやコットを併用すれば底冷え対策に効果的!
出典:写真AC
いくら保温性の高いシュラフでも、地面に直接寝てしまうと底冷えしてしまうので、マットやコット(キャンプ用簡易ベッド)を併用するのが効果的です。
銀マットやエアマットを敷くことで地面の冷気を遮断するほか寝心地感も向上し、またコットを使えば地面との間に空間ができ底冷えの影響を受けにくいなど、本来持つシュラフの保温性を発揮することが出来ます。
おすすめのマットやコットについては、こちらの記事をご参考に!
まとめ
今回は、快適使用温度を中心にシュラフの基礎知識や失敗しない選び方をご紹介してみました。
キャンプで快眠するためには、現地の気候や状況に応じた保温性のシュラフを選ぶ必要があり、快適使用温度が重要なポイントになります。
今回紹介した快適使用温度の見方や選ぶときのポイントを参考に、用途にあった最適なシュラフ(寝袋)で快適なキャンプライフを楽しんでみてくださいね!